『墨のゆらめき』
三浦しをんさんの語りに引き込まれます。(『船を編む』の作者です)
たとえの面白さや豊かな表現に笑みがこぼれます。
ホテルマンの律儀な続(つづき)。
筆耕士の遠田。習字教室では子どもたちと楽しく書を教え、続と話をする時はぶっきらぼうで何か影がある。
まず読者は筆耕士の書体を想像する。遠田の書いた宛名の文字は、「黒曜石を砕いて溶かした墨液を使ったのかと思うほど、鋭くも深い光を帯びていた」(p. 68)。
この表現を読んだとき、今まで自分が知っている書道の作品を思い浮かべようとしました。
「墨がまだ乾いていないのではないかと、思わず指先でそっとこすってみたぐらいだ」(p. 68)
どのような文字と墨の具合なのでしょう。。。
さらに、書の魅力だけでなく、読社は遠田の容姿を想像します。
作務衣を着て、端正な顔つきをしている。(素敵なのでしょうね。。。)
立場の違いから、二人は程よい距離をとっていますが、どこかでお互いを思いやっているのが伝わってきます。
二人の距離感とやり取りが絶妙です。
遠田の飼っているネコの名前、「カネコさん」の様子にも笑みがこぼれます。
後半の遠田の語り、彼が書に導かれるまでの人生にも驚かされます。
普段の生活では味わえないさまざまな感情が湧きおこります。
最後に声がもれます。その声は人それぞれです。
あなたはどのような声をもらすのでしょう。
機会がありましたら、是非お読みください。
↓ 三浦しをん 新潮社 1,600円+税
『同じ星の下に』
このような罪滅ぼしの仕方があるのでしょうか。
衝撃的な真実に驚き、一度本を閉じました。
怖い思いをした沙耶。でも、彼女の言うように、もし渡辺の手荒な行動がなかったなら。。
親から虐待を受けていた沙耶はそのまま見過ごされ、どのような人生を送っていたのか。その方が取り返しのつかない結末でになったかもしれません。
渡辺が選んだ方法は違法ですが、まだやり直しができる解決法だったのかもしれません。
タイトルと本の表紙が気になって図書館で借りました。2023年10月に出た作品です。
ストーリーの意外性(面白さ)と語りにも惹かれ、この作者の他の作品も現在予約しています。
機会がありましたら、是非お読みください。
↓ 八重野統摩さん 幻冬舎 1,600円+税
英語の講師なのに、なぜ本の紹介をしているのか?
趣味と言えばそうかもしれません。それ以上に生活の中で、何か読まないと疲れるのだと思います。
仕事柄、英語を何時間も読みます。入試の過去問を解いたりもしますし。。
そのような生活の中で、無性に日本語で書かれたものを読みたくなります。ジャンルは好きな小説を読みます。
英語 ⇔ 日本語を読み、頭の中のバランスをとっているのだと思います。
ですので、大学の図書館から5~6冊の本を借りていて、読みたくなった時にすぐに読めるようにしています。本屋さんで面白そうな本は購入もしいています。(ポイント還元など少しお得なサービスを利用しています【hontoポイントカード】本屋さんによく行く人に とっては少しお得です)
中学生、高校生のみなさんは、様々な教科を勉強していて、バランスをとることができていると思います。
ずっと英語だけ、数学だけ、ではもたないのだと思います。
私は今更数学はできませんし、、、幸いにも好きな読書でうまくバランスをとっています。
教科以外で、気分転換に何を読んだらいいのか、そんな時に「おすすめの本」を参考にしてください。